光触媒の抗菌コーティング加工とトランクルーム

2022.09.13
トランクルーム

 

最近では屋外型・屋内型を問わずにおしゃれでキレイなトランクルームが増えてきています。

それもこれも、トランクルームの運営会社の企業努力の賜物といったところでしょうか。

 

その背景にあると考えられるのが、トランクルーム利用者の増加です。

利用者が増えることでニーズが多様化し、運営会社もさらに顧客満足の高い競争力のあるトランクルームを提案ということになります。

 

そうした中にあって、トランクルームの付加価値としてちょっと気になっているのが、抗菌コーティング加工を施した屋内型トランクルームです。

 

一概に抗菌コーティングといってもいろいろありますが、注目したいのが「光触媒」という方法です。

 

光触媒という単語について、「なんとなく聞いたことはある」という方がいるかもしれません。

まだまだ一般的な認知度は高いとはいえませんが、住宅やビルの外壁や車の塗装などのコーティング技術として導入されたことで、少しずつ光触媒という単語が広まりつつあるという状況です。

 

ここで光触媒とはなにかということに触れてみましょう。

簡略にいえば、抗菌コーティングを施す技術の一つになります。

抗菌コーティングには、抗菌作用のある薬品などを組み合わせた薬剤を塗布するなどいくつかの方法があります。

その中でも、「ある物質」に光が当たることによって起こる化学反応を利用し、抗菌性などを発揮させるコーティング技術ということになります。

 

光触媒に使われる「ある物質」が、酸化チタンです。

 

酸化チタンは太陽光や蛍光灯の光などを吸収し、化学反応を起こして強力な酸化力と親水性を生み出します。

 

このように化学反応を起こす物質が「触媒」といわれるもので、この場合、触媒である酸化チタンが光の力を酸化力に変えることから、「光触媒」と呼ばれることになります。

 

つまり、光を吸収した酸化チタンが触媒となって、抗菌性をはじめとする様々な効果を発揮するというわけです。

 

その原理を順を追って説明します。

 

  • 光触媒である酸化チタンに光(紫外線)が当たると、その表面から電子が飛び出す。
  • 電子が飛び出すと、プラスの電荷を帯びた「ホール」と呼ばれる穴ができる。
  • ホールは強い酸化力を持ち、プラスの電荷であることから、マイナスの電荷を帯びた水中の水酸化物イオンなどから電子を奪おうとする。
  • 電子を奪われた水酸化物イオンは、OHラジカルという不安定な状態になる。
  • OHラジカルは強力な酸化力があり、周囲にある菌などの有機物から電子を奪って安定化をはかる。
  • 電子を奪われた菌などの有機物はバラバラになり、二酸化炭素や水などになって発散される──。

 

といっても、専門的過ぎてわかりづらい……。

 

そこで、もっとわかりやすい光触媒のイメージが、洗濯物や布団干しです。

 

天気のいい日は、洗濯物や布団がよく乾きます。

でもそれだけではありません。

 

天日干しは、洗濯物や布団の水分や湿気を乾燥させるだけではなく、同時に太陽光の紫外線によって抗菌も期待できるのです。

 

また、ひと昔前は金魚鉢水に水道水を使う場合、残留塩素を抜くため水を汲み置きして太陽に当てていました。

この頃では金魚鉢用の塩素抜き剤があるためひと手間かけることはなくなったようですが、これは太陽光に当てることにより紫外線の力で水道水中の塩素を分解するためだったのです。

 

光触媒とは、このような光の力を触媒によって発現させるための方法ということになります。

 

では、光触媒によってどのようなメリットがもたらされるのかが興味あるところです。

 

抗菌コーティングのひとつの手法として用いられているわけですから、抗菌がまずあげられます。

それを踏まえて、一般的にいわれている光触媒が持つ5つの働きをリストアップしてみましょう。

 

  • 抗菌
  • 水質浄化
  • 脱臭
  • 大気浄化
  • 防汚

 

この中でも①の抗菌と②の水質浄化は、洗濯物や布団の天日干し、金魚鉢に使う水道水の汲み置きで触れたとおりです。

 

光触媒は強力な酸化力を発揮するといわれていますので、光触媒で抗菌コーティングすると表面に付着した細菌やウイルスなどの異物を分解してくれるとされています。

これが抗菌力につながります。

 

水質浄化については、水道水中に含まれるテトラクロロエチレンやトリハロメタンなどの有機塩素化合物を分解除去してくれるといわれており、そのため金魚などの水棲生物を安心して飼育することができる水になるというわけです。

 

では、③から⑤の脱臭・大気浄化・防汚はどうでしょうか。

 

でもその前に、このコラムのテーマはトランクルーム。

 

特定多数の人が出入りする屋内型トランクルームに光触媒の抗菌コーティングが施されていれば、昨今のような感染症対策が求められている状況にあって安心と安全の目安になるかもしれません。

 

さらに光触媒の働きにあげられている、③から⑤もトランクルームの付加価値に関係しそうな項目ばかりといえそうです。

 

今回は光触媒というちょっと専門的な内容の説明になってしまいましたが、次回はトランクルームの付加価値として、光触媒がもたらす様々なメリットを紹介します。

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