トランクルームの保管品に多い衣類の害虫対策
去年買ったばかりのジャケットやスカート、あるいはコートやセーターといったお気に入りの洋服。
衣替えもおわり、さっそく腕を通しておしゃれしてみようと思ったとき、袖口や背中などにポツポツと小さな穴が空いていたら大ショックです。
値段の安い着古した洋服であればまだしも、奮発して買い求めた衣服であればなおさらではないでしょうか。
衣類に小さな穴を空けている犯人はなにかというと、ある種の虫の幼虫です。
一般的に衣類害虫あるいは、衣料害虫といわれている虫の幼虫が空けた虫食い穴ということになります。
では、どんな虫の幼虫なのかというと、代表的なところで「ヒメカツオブシムシ」「ヒメマルカツオブシムシ」「イガ」「コイガ」の4種類がいます。
ヒメカツオブシムシとヒメマルカツオブシムシは甲虫の一種で、イガとコイガは蛾の仲間。このなかでも特に厄介な衣類害虫が、ヒメマルカツオブシムシだといわれています。
これらの衣類害虫は、押し入れやタンス、クローゼットなどに保管されている衣類に卵を生みつける習性があります。
卵から孵化した幼虫は衣類の繊維を餌として成虫に育つのですが、ヒメマルカツオブシムシは最大で100個近くの卵を生みつけるといわれているからです。
しかも、成虫になってまた卵を産んだとなれば、衣類の被害はエンドレスで続いてしまうかもしれません。
そのため衣類を保管したり、収納したりするときの防虫対策は必須の取り組みになります。
基本的な対策としては、防虫剤の利用です。
ご自宅はもちろんですが、トランクルームに衣類を保管する際も防虫剤の利用をおすすめします。
なぜかというと、衣類害虫はいつ、どこから侵入してくるかわからないから。
衣類害虫は、成虫になっても体長が2〜7mmほどしかありません。
肉眼で見ることはできますが気づきにくいほど小さく、ちょっとしたすき間があれば悠々と侵入してしまうのです。
そのため、大事なのは侵入してきた衣類害虫が住みにくく、増えにくい環境を整えること。
ちなみに防虫剤は殺虫剤とは違いますから、虫そのものを殺すことはできません。
防虫剤は虫が近寄らないようにするための薬剤であり、その働きによって虫を寄せつけず、衣類を守ってくれるというものになります。
ただし、誤った使い方をするとせっかくの防虫剤が効果を発揮しないことがあります。
防虫剤から発生するガスは空気より重たいため、衣類の上に置くようにするのがポイント。
クローゼットであれば上から吊るし、ガスが上から下へと流れてまんべんなく衣類をカバーするようにしましょう。
また、防虫剤の量も大事なポイントです。
衣類の量や収納スペースの広さに合わせ、十分に防虫効果が発揮できるだけの防虫剤を配するようにしましょう。
ご自宅あるいはトランクルームを問わず、防虫剤の利用のほかに衣類害虫対策で気をつけたいのが保管方法です。
衣類害虫が餌にするのは繊維だけではありません。衣服についた食べこぼしや皮脂汚れなども餌にして成長します。
そのため、汚れたままの衣服を保管すると、衣類害虫の繁殖を促す一因になりかねません。
衣類はかならず洗濯してから保管するようにしましょう。
収納場所や保管環境に配慮するのも大事なこと。
衣類害虫の活動が最も活発になるのは、気温15度〜25度、湿度60%以上の環境だといわれています。
押し入れやクローゼットは、ただでさえ熱や湿気がこもりやすい場所ですから、定期的な換気も衣類害虫対策にとっては大切なようです。
この点、ご自宅よりも比較的安心なのがトランクルームかもしれません。
屋内型のトランクルームであれば、24時間空調管理されていますので一定の温度や湿度を保つことができます。
さらにこまめに掃除すれば、侵入してきた成虫を追い出すことにもなります。
収納や保管場所の気温・湿度管理と掃除、これも衣類害虫対策の基本といえそうです。
ところで、衣類に穴が空く原因は虫食いだけとはかぎりません。逆にちょっとした損傷があっても、虫食いが原因だとは気づかないことがあります。
たとえば、衣服はボタンやファスナーなどとの摩擦によって穴が空くこともあり得ます。
あるいは、「どっかに引っかけたかな」と思ってしまうような虫食い穴もあります。
そうなると、衣類害虫対策が遅れてしまい、大切な衣服がとんでもないことになりかねません。
虫食い穴の被害を広げないためには、虫食いとそれ以外の原因でできた穴かどうかを見極めることも大切。
そこで虫食い穴の見分け方ですが、いちばんわかりやすいのが複数の穴が空いているかどうか。
衣類害虫は数個から数十個の卵を生みつけるといわれています。
さきほどのヒメマルカツオブシムシにいたっては100個近くも卵を生みつけるわけですから、ポツポツと複数の穴が見つかったら虫食い穴と判断してもまちがいないでしょう。
あとは至極当然のことですが、長期間仕舞い込んでいた衣服に穴が空いていたら、ほぼまちがいなく虫食い穴だといえます。
ずっと着ていなかった衣服を見るときのポイントが、穴だけではないということ。
穴が空いていなくても、生地の起毛部分が部分的に薄くなっていたり、薄らと線が入っていたりすることがあります。
実はこれも虫食いが原因の可能性が高いとのこと。
大切な衣服を守るためにも、衣類防虫対策は必須の取り組みといえそうです。